What’s New?

連載:宮下いづみ先生に聞く英語の始め方【第4回】

難しい英語にチャレンジするときの注意点

宮下いづみ先生プロフィール
Eunice English Tutorial主宰、武蔵野大学、明治大学、実践女子大学非常勤講師。幼児から社会人まで幅広い年齢層に英語を教えて40年ほどになる。著書『音のある英語絵本ガイド』(共著:コスモピア)、『ドラえもん はじめての英語辞典』(共著:小学館)『ドラえもんはじめての英会話辞典』『ドラえもんはじめての英語図鑑』(いずれも単著:小学館)など。日本経済新聞に『おもてなし会話術』を連載中。

レベルの高い英語の本を読み進めるためのコツはありますか?

難しい英語が含まれる本を読み進めていく場合には、むやみにレベルを飛ばさずに、最初のレベルから順を追って進めていくことが大切です。

最初のレベルを飛ばしてしまうと、必要な基礎単語・表現をとりこぼしてしまうリスクがあるためです。

とはいえ、すでに一定の英語力がある子だと、低いレベルの本は簡単すぎるのではないでしょうか。

すでに英語力のある子でも、レベル1からスタートすることをおすすめします。

その代わり、読み進めるスピードを速めればよいのです。

たとえば、まったく英語が初めての子には、レベル1の本を1週間、繰り返し読んでもらいます。しかしすでに英語力のある子であれば、レベル1の本なら1回読んで終わりにして、どんどん次のレベルに進んでもらってかまわないのです。


先生にご監修していただいた「子ども英語ブッククラブ」の本の読み放題「eステKids」のおすすめパックには、レベルが上がると難しいテキストも含まれてきますね。

たとえば、おすすめブックパック4だと「多読スタートパック 初級」とある通り、簡単な単語や文だけでなく、ある程度、複雑な展開のある内容になっていきます(英検4級相当)。紋切り型の内容ではないので、読後の感想も子どもによって分かれることが多いですね。

こうした難しいレベルの本からスタートしてしまうと、いきなり挫折しかねません。ブックパック4は、あくまで小学6年生の到達目標くらいのイメージです。



そうすると、やはりまずはブックパック1「ABCスタートパック」から始めて、ブックパック2「基礎単語スタートパック」、ブックパック3「ストーリースタートパック 」と進んでいった上で、最後にブックパック4「多読スタートパック 初級」に取り組む、という順番がよいのではないでしょうか。

また、おすすめブックパック4「多読スタートパック 初級」の中でも、やはりレベル順に取り組むことをおすすめします。

同じシリーズでも、そのなかでさらにレベルが分かれている場合がありますので、注意してください。(Highlights、Innova Graded Readers 、Building Blocks Libraryなど)

eステKidsではレベル別に本を検索できますから、順を追って読み進めてみましょう。

ちなみにBuilding Blocks Libraryには会話が吹き出しで表現されているのですが、この会話表現がとてもよいです。単語を入れ替えたりして、そのまま英会話に使えますので、上手く活用してみてください。

手当たり次第に興味のある本から読み始めるのではなく、きちんとレベル順に段階を追ってから、難しい本にチャレンジしたほうがいいんですね。

原則的にはそうです。ただし多少レベルが高くても、特に興味を持った本があれば、チャレンジしてみるのもたまにはいいのかもしれません。

私の教室でも、突然900語の本に挑戦してしまった生徒さんがいました。おそらく内容はあまり理解できなかったのではないかと思うのですが、本人はとても楽しそうにしていました。こういうことも、たまにはいい経験になるのではないでしょうか。

高いレベルの本まで読み進めていくことで、どのような力が得られると思いますか。

まず、子どもの自信につながります。「ある程度、英語の本が読みこなせた」という事実があるため「さらに別の本も読んでみたい」「もっと難しい文章も読んでみよう」というポジティブな気持ちになっていきますね。



世の中には、英語に苦手意識を持っている人も多いです。しかし「ある程度、英語の本が読みこなせた」という事実は、子どもの自信を底支えしてくれます。

おすすめブックパック4「多読スタートパック 初級」を読みこなすことができるようになれば、「英語でものを考える」というレベルの入口に立てると言えます。実際、学校のテストや資格試験の結果にもつながっていきます。